BTS(防弾少年団)英語→日本語 翻訳の部屋

「防弾少年団」(BTS)が取り上げられた英語媒体の記事やニュースをファンが和訳して載せているブログ。翻訳には意訳部分も多くなりますのでご了承ください。

【和訳1/2】K-pop界の巨人、BTSが記録を打ち破り続ける理由

2019年2月22日に公開されたGrammy.comの記事(by Ana Yglesias氏)の和訳記事です。2回に分けてUP予定で、こちらは前編です。

 

オリジナル記事はこちら↓ 

www.grammy.com

 

K-pop界の巨人、
BTSが記録を打ち破り続ける理由

バンタンボーイズには特別な何かがある

 

BTSの7人(J-Hope、ジン、V、ジョングク、ジミン、シュガそしてRM)が"ARMY"というワールドワイドなファンベースを作り上げたことは、すでに周知の事実だ。様々な記録を破り続けている彼らは、いまや主流派ポップミュージック、特にアメリカのポップミュージックが目指すべき、もっとも鮮やかな象徴的存在であることが徐々に明らかになってきた。

K-pop自体に目新しいことはないかもしれない(このジャンルが現在のような形になったのは1990年代のことだ)。ではBTSの何が、こんなにもアメリカを熱狂の渦に巻き込んでいるのか? この7人組のグループの何が他のアーティストと異なるのか、そしてなぜ彼らの勢いがすぐには収まりそうにないのか、次の5つにまとめた。

youtu.be

 

 

 

1. 予想を超えてくるBTS

一見した彼らの様子から、またこの業界の流行り廃りの速さを考えても、BTSをただの一過性の流行だと結論づける人もいるだろう。しかし、それはBTSがファンとつながる力を過小評価している。続けざまにリリースされるアルバムの中で、BTSは自己愛のような重要なテーマに触れつつ、壮大な柱を持つストーリーを展開している。また去年はLove Yourselfのワールドツアーにて各地のコンサート会場を観客で埋め尽くした。北米だけで8ヶ所を周り、21,000人のキャパを持つLAのステープルセンターで4日間のコンサートチケットを完売させた。そしてアメリカ初のスタジアムでのコンサートとして、NYのシティ・フィールドに40,000人ものファンを集め、またもチケットを完売させたのだ。

さらに重要なこととして、BTSはK-popとボーイバンドの美学を持ちながらも様々なジャンルの音楽に挑戦し、リスナーの予想を常に覆してきた。彼らはそのファッションや音楽のセンスを通じてジェンダーの固定概念を取り壊し、ポップスターの「男らしさ」についての古くさい価値観を脇に追いやった(その点は、プエルトリコのラッパーBad Bunnyのような若いスターとも共通点がある)。LA Timesはライブレビューの中で、BTSは「ジェンダーの表現の幅に、ワクワクするような進化をもたらした」と記した。彼らは「真っ白なフリルつきブラウス」や「ぶかぶかのトレパン」などを始め何度も衣装替えを行い、ステージの上ではメンバー同士のじゃれ合いが見られた。


「彼らは、理想の男性のルックスや声はこうでなくてはならない、という我々の固定概念を覆してくれる。そんな彼らの様子がステープルセンターの多様な観客から熱狂的に受け入れられていることも、古い価値観からの解放をさらに後押ししてくれるようだった」と、LA Timesのポップミュージック評論家であるミカエル・ウッド氏は記している。

 

2. ジャンルの垣根を軽やかに越えていく

New York Timesのポップミュージック評論家ジョン・カラマニーカ氏はNYCでのコンサートのレビューにて、BTSの音楽がただのティーン向けの軽いファッション音楽ではないことを丁寧に記している。「'Love Yourself: Tear'と'Love Yourself: Answer'というアルバムを聞くと、BTSがいかに変化に富んだ複雑な音作りを行っているかがわかる。Chainsmokers風のEDMポップ、1990年代R&Bに、NY・サウススタイルのヒップホップなどなど。メンバーは歌手としてラッパーとしての才能があり、ダンサーやパフォーマーとしては実に敏捷な動きを見せ、ライブでのたたずまいはリラックスしたものだった」とカラマニーカ氏は語る。

 



3.  7人全員がグループに独自の才能で貢献している  

パッと見、楽器を積極的に演奏しないグループとしては、7人というメンバーは人数が多いように見える。だが、どのARMYでも必ず証言してくれることだが、7人はそれぞれBTSというグループをつくる上での重要な役割を担っている。初心者向けの言い方をすると、このグループはラッパー組とボーカル組の2つに分けられる。さらにこれまでのボーイバンドと違い、いわゆる事実上の「リーダー」や「フロントマン」という存在がいない。英語に堪能なRMはグループを代表して人前で話すが、メンバーを導くという役割を常に担っているわけではない。

カラマニーカ氏が記事で指摘していたように、BTSのステージではファンを大喜びさせるようなスポットライトの使われ方がある。「コンサートの終盤、'The Truth Untold'で4人のボーカルが甘いハーモニーを奏でた後、すぐに'Outro: Tear'が始まり、3人のラッパーが持ち味の異なるラップを披露する。さらに各メンバーにはソロ曲の時間がある。Vが披露する官能的なR&B曲 'Singularity'は最大の見せ場といっていいだろう。そして 'Serendipity'では、ジミンがバレエのような、もしくは映画マトリックスのような見事な舞を見せてくれる」。