BTS(防弾少年団)英語→日本語 翻訳の部屋

「防弾少年団」(BTS)が取り上げられた英語媒体の記事やニュースをファンが和訳して載せているブログ。翻訳には意訳部分も多くなりますのでご了承ください。

【1/2】BTSの生みの親が語る、K-Pop界スーパースターの創設秘話 

2019年10月に投稿されたTIMEのweb記事を2回にわけて和訳します。こちらは前半です。 

 

 
↓オリジナルの記事(英語)↓

time.com

  

 

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パン・シヒョクは元々はアーティストだった。しかし彼は現在、Big Hitエンターテインメントの創立者かつ共同代表であり、さらにはBTSの生みの親として知られる存在だ。BTSは世界で最もビッグなボーイバンドで、韓国出身のアーティストを西欧諸国の市場に呼び込む主導的な役割を果たしたK-popグループである。パン氏は当初Hitmanという名前で作曲家としてK-pop業界に入り、数十億ドル規模の韓国の音楽市場を独占する「御三家」会社のひとつ、JYPとともに仕事をしていた。しかし2005年、彼はJYPを去って自分の会社を立ち上げる。現在、高い人気と収益性のあるアーティトという金鉱を掘り当てたBig Hitは、音楽業界でも最も興味深いケーススタディの対象だ。

 

パン氏は1時間半のインタビューを通して、BTSの創設秘話について、西欧アーティストとKpopアーティストの違いについて、また彼が驚いたというKpop産業の実態についてTIMEに語ってくれた。「AをしたらBになる、という風に言うのは難しいです」と彼は語る。「しかし米国市場でのBTSの成功は、アメリカでのメインストリームの成功法則と違うことは確かです。BTSの成功は、ファンとの直接的な交流により築き上げられた忠誠心が大きく関係しています」。パン氏は献身的なファンベースと複雑なユニバース(宇宙)を築き上げた同様のブランド例としてDisneyやAppleを挙げたが、その上で何よりも重要なのは、製品、つまり音楽そのものだと強調する。

 

パン氏は自身の影響力については謙虚で、また自分の役割について明確に示したいと考えている。パン氏は自分の運とタイミングの良さを挙げた上で、BTSがなぜ特別な存在になったのかを明らかにしていく。彼は将来の予測を立てることについても慎重だ。「BTSは将来、英語で歌を出しますか?いつまでアメリカで活動しますか?大きなレーベルと契約する予定はありますか?などと聞かれたら、アーティスト自身が常に自分たちで考えてベストな決断を下す必要がある、としか答えられません。彼らがこうするべきだというようなことは、私には言えません」と彼は語る。

 

以下は、パン氏とTIMEの対話を要約・翻訳したものである。

 

 

Big Hitを立ち上げたときに、ポップミュージックの中でもいろんなジャンルの選択肢があったと思いますが、なぜアイドルグループという形を選んだのですか?

私が会社を立ち上げたときはフィジカルのアルバム売上が急低下していて、デジタルの売上もそれを補填するほどは上がってきていなかったんです。でもK-popアイドルグループには収益源を多様化するチャンスが沢山あり、非常に情熱的なファンがいるというアドバンテージがあった。そうした背景から、低下したアルバム売上をコンサートの売上でカバーできると考えたんです。また当時は、滅びゆく音楽業界の代わりとなる唯一のものはライブのパフォーマンスだと皆が話していました。ライブパフォーマンスをベースとしたアーティストのモデルがもし韓国で作れるとしたら、それはK-popアイドルグループだろうと考えたんです。

 

 

BTSが独自の道を歩むことになった、他と一線を画する要因はなんだと思いますか?


彼らの誠実さ、一貫性、そして時代の精神を具現化する能力です。アイドルグループとしての結成時に、ヒップホップはもちろん、自分たちのしたい音楽をここで追求することができると私は彼らに約束しました。BTSの音楽はヒップホップだったので、自分たちの思いを曲に乗せて表現できましたし、私たちはその部分に干渉しませんでした。その代わりその歌詞が本心からのものでないと感じたら、口を挟みます。私は約束を守りましたし、それが大きな結果を生み出したと思っています。個人的に、アーティストが自分の本心を常に語る必要はないと思っていますが、BTSは世界中の若者がそのとき求めていた何かに触れたのだと思います。

デビュー以来、BTSが突然ギアを切り替えたりペースを変えたりしたことは一度もありません。彼らはいつも一貫している。それが世間を納得させたのだと思います。現代に生きる若い世代が感じる痛みに向き合うことを避けずに、多様性と正義、そして若者と弱い立場に置かれた人々の権利を尊重している。こうした要素が彼らを押し上げたのだと思います。

 

 

これまでのところ、BTSは今年のアメリカ国内でどのアーティストよりも多くフィジカルアルバムを売り上げています。これについてどう思いますか?
 
BTSのこの現象は私には皮肉なものに思えます。私はフィジカルアルバムの売上下落を予測して、パフォーマンスと忠誠心を基盤としたモデルが解決策になると思っていましたから。ただその上でいうならば、私は古いタイプの音楽プロデューサーなので、アルバムのクオリティに大きな重点を置いていますし、アルバムに焦点を置いたプロダクションをしています。良い音楽とコミュニケーションがあれば、売り上げはついてきます。K-pop業界全体が世界の音楽業界の傾向とは逆流して、アルバムの売上を引き上げているとみられていますが、個人的にはこの理由は説明できませんし、これが今後も永遠に続くとは思っていません。

 

 

他のK-Popアーティストが牽引力の獲得に苦戦している中、なぜBTSはアメリカでこのように印象的な躍進を遂げられたのでしょうか?

基本的に、BTSのアメリカでの成功の理由の多くは運が良かったからだと考えています。私の戦略が素晴らしかったからとか、BTSが米国市場にピッタリはまっていたからとかではないんです。そうではなく、彼らのメッセージが特定の層のニーズと共鳴し、デジタルメディアを通じて急速に広がったことが原因だと思います。またBTSの曲が当時アメリカで語られていなかったテーマに訴えかけ、アメリカの若者がそこに反応し、それが数字(売上)となって証明された形だと考えます。

 

  

今年の目玉の動きのひとつとしてそれぞれのグループの中で築いている「ユニバース」を強化し、ライブやアルバムを超えてファン同士を繋げようとしていますが、それはなぜですか?

BTSやK-popアイドルに関して、ファンはコンサート以外でも自分の愛するアイドルの生活スタイルの一部になりたいと願っていますが、その願いを満たすものが既存のマーケットにはありませんでした。私はビジネスを拡大するために拡大するという考えが嫌いです。拡大は音楽に根付いているものでなくてはなりません。そういう考えでこのような動きを取りました。K-popアイドルは「歌手」という括りだから歌手と同じだと考える人もいますが、典型的な歌手とはファンのニーズが違います。コンサートに行く人もいればアルバムや曲を購入したりTシャツを購入するファンもいるでしょうが、K-popアイドルのファンは、アイドルを身近に感じていたいんです。BTSは世界中のほとんどすべての国でしっかりとした売上を挙げられる、我々の会社での唯一のチームです。つまりBTSのファンダムのために働くことは、Big Hitが提供する最大のサービスの一つだと言えます。

 

 

音楽を通して、またソーシャルメディアを通して彼らが表現しようとしているものが何か、どのように把握していましたか?

率直に話すと、K-popアーティストは平均的なアーティストの基準と比較してアクロバチックなレベルのパフォーマンスが求められます。歌も完璧に歌えて、完璧なコンディションでいないといけない。スキル習得に特化した高レベルで集中的なトレーニングが必要とされます。一方で、私は訓練生はソーシャライズのスキルも磨くべきだと考えてきました。BTSが訓練生のときは、ソーシャルメディアの使い方に関してスタッフとの間で内部での衝突がありました。スタッフは「安全策を取ろう。ソーシャルメディアには履歴が残る。将来の彼らにとって有害な結果になるかもしれない」と主張していました。若い人がルールに従う難しさもある。なので大変だったことも多少ありましたが、私はたとえ間違いを犯してもそこから学ぶことは正しいことだと信じていたので、比較的自由のある訓練生システムにしていました。

我々の会社では多くの時間を、ソーシャルメディアの教育をはじめ、アーティストとしての人生についての教育に費やしています。ガイダンスを提供した後はアーティスト自身に任せて、何か必要なことがあれば会社に言うようにこちらの窓を開けておきます。こうした教育もあって、彼らの真心がファンの元まで届くようになったと思います。BTSの成功を受けて、訓練生の仕組みをもう少し学校のようなもの、メンター制度やコーチング制度、そして生徒たちが一緒に取り組む機会があるようなものに変更しようとしているところです。

 

 (後編に続きます)

 

 

 

 

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