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グラミー賞からのBTSの閉め出しで明らかになった、レコーディングアカデミーの文化的な盲点

2019年11月に公開されたforbes.comのweb記事の和訳です。

 

 
↓オリジナルの記事(英語)↓

www.forbes.com

 

 

グラミー賞からのBTSの閉め出しで明らかになった、レコーディングアカデミーの文化的な盲点

 

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グラミー賞ノミネートの発表の後に、不当に無視されたとファンが怒りを露わにするのは毎年のことだ。しかし今年のグラミー賞ノミネートの発表では、レコーディングアカデミーによる過去最悪レベルといっていいほどの手落ちが明らかになった。BTSを完全に排除したのだ。

2019年のBTSは過去に前例がないほど絶好調だった。4月にリリースされた'Map of the Soul: Persona'はビルボード200で初登場1位となり、彼らは1年以内でチャートの首位に三度輝いた、1996年のビートルズ以来初のグループとなった(BTSは2018年の'Love Yourself: Tear'と'Love Yourself: Answer'でもビルボード200の首位となっている)。BTSは先日Love Yourself: Speak Yourselfと題したワールドスタジアムツアーを終えたばかりだが、その総収益は1億1,700万ドル近くに上り、チケット売り上げは100万枚近くとなった。またHalseyをフィーチャーしたシングル'Boy with Luv'で彼らにとって最高記録となるビルボードHot100の8位を記録し、RIAAのプラチナ認定を受け、垣根を超えた躍進をさらに印象付けた。
 

これらはBTSが2019年に達成したことのほんの一部に過ぎない。BTSはグラミー賞ノミネートの本命のように見えた。最優秀アルバム賞や最優秀レコード賞でなくとも、最優秀ポップ・パフォーマンス賞(グループ/デュオ)や、最優秀ポップ・アルバム賞(ボーカル)、少なくとも最優秀ワールドミュージックアルバム賞のノミネートは手堅いように思えた。しかしレコーディングアカデミーは2020年のグラミー賞ノミネートから完全にBTSを閉め出し、それにより自ら慢性的な文化的盲点の持ち主であること、人気の音楽トレンドに痛ましいほど乗り遅れていることをまたも証明してしまったのである。

グラミーと人種の希薄な関係性は周知の事実だ。61年間の歴史の中で最優秀アルバム賞を受賞した黒人アーティストは10人だけで、非白人のアーティストの多くはR&Bやラップ部門に追いやられてきた。グラミー賞候補者と受賞者の歴史を紐解くと、レコーディングアカデミーの中で投票の偏りがあることがわかる。有色人種のアーティストは繰り返し「別物扱い」され、古いアーティストによる可もなく不可もない作品が、圧倒的な商業的成功を収めた新時代アーティストの作品を破って賞を受けてきた。この例で言うと、BTSは両方の点で外されたといえる。

もちろん音楽のクオリティは常に主観的であるし、単純にBTSの昨今のアウトプットがグラミー賞にノミネートされるには不十分だったという否定派もいるだろう。しかし現実を見てみよう。グラミー賞は客観的な音楽性の評価とは事実上、無関係である。レコーディングアカデミーは音楽業界のポリティクスとポピュリズムにより意思決定される、時代遅れな組織なのだ。ケンドリック・ラマーの'Good Kid, M.A.A.D. City'がマックルモア&ライアン・ルイスの'The Heist'に敗れて最優秀ラップアルバムを逃したのも、同じくケンドリック・ラマーの'DAMN.'がブルーノ・マーズの'24K Magic'に敗れて最優秀アルバム賞を逃したのもそれが理由である。 

皮肉なのはこうした基準から見たとき、BTSはグラミー賞ノミネートに最もふさわしいグループのひとつだということだ。彼らはアルバム売上、ストリーミング再生数、動画再生数とコンサート来場者数で同年代の白人・西洋アーティストを上回る記録を定期的に残している。西洋アーティストは彼らとのコラボを望んで騒ぎ立て、去年のグラミー自体もそうだったように、アワード授賞式は注目を浴びるために彼らを招待する。グラミーは芸術としての真価よりもポピュリズムに価値を置いた選考を定期的に行ってきたが、BTSはまさに「みんなのバンド」の定義そのものである(もちろん、評論家に高く評価される洗練されたポップミュージックをつくるバンドでもある)。 

一筋の希望は、BTSのファンたちがこうした失望に慣れているということだ。今回も彼らはいつもの方法でレスポンスした。つまり、ストリーミング数を強化してBTSに対する愛とサポートを公然と叫んだのだ。Soompiによると本日午後の時点でBTSの韓国語での全作品がアメリカのiTunesのトップアルバムチャートに入り、この記事を書いている時点で #ThisIsBTSがワールドハッシュタグの3位にトレンド入りしている。

BTSはこれからもツアーを行って新しい音楽をリリースし、グラミー賞に認められるかどうかに関わらず、ファンはこれからも彼らを支えていくだろう。いつかレコーディングアカデミーがこのK-popグループの真価を認める日も来るかもしれない。しかし今後BTSが記録を打ち立て続けグラミーが妥当性を失い続けるとしたら、BTSとグラミーのうち、どちらがどちらを必要とするようになるかは明白である。

 

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